水夢館からのお知らせ

ベストウエイトと身体活動能力(体重なんか気にしない!!)

2003年06月01日

■ベストウエイトと身体活動能力

太るとなぜいけないのか。平均すると、太っている人のほうが寿命が短いからです。ところが太っていても健康な人がいることも事実です。その人たちに共通している特徴は、身体活動能力が高いということです。健康で最も身体活動能力の高い体重を、ベストウエイトといいます。

 数年前、アメリカのニューズウィーク紙が「体重なんか気にしない」という特集を組んで、世間をびっくりさせました。記事の中には、太っていても元気な人が大勢紹介されています。まず、身長160センチで体重が66キロ、BMI25.8の56歳の中年の女性です。アメリカ人としては小柄な女性ですが、彼女は3年前には体重が100キロ、糖尿病、高血圧に悩まされていました。ダイエットして、体重66キロになったら糖尿病、高血圧が治りました。しかも山登りが趣味ですが、66キロのときエベレストに登ってしまったのです。

 健康でしかも世界最高峰に登れる、すなわち身体活動能力もきわめて高いわけで、これが彼女のベストウエイトと考えられます。従来の標準体重と比べれば10キロくらいオーバーしていますが、この66キロ以下まで体重を減らす必要はないというわけです。これについては、米国医師会雑誌に発表された「身体活動能力と死亡率」に関する研究が理論的根拠になっています。すなわち、体重よりも身体活動能力のほうが死亡率に対して影響が大きいとする研究成績です。肥満や超肥満のグループでも、身体活動能力が高い人の死亡率は低いのに対して、標準体重でも身体活動能力が低い人の死亡率は高いことがわかります。「病は足から」とは、古くからよく言われてきましたが、この言葉の意味を裏付ける科学的根拠がそろってきたということもできましょう。